カンツォーネ

帰れソレントへ 歌詞の意味・解説

『帰れ、ソレントへ』は日本でもよく知られるカンツォーネ(ナポリターナ)の代表曲です。
太陽が降り注ぐ美しい海岸のあるソレントの風景と、愛する女性が戻ることを願う恋心を歌った情熱的な歌です。

「帰れソレントへ」歴史と解説

『帰れソレントへ Torna a Surriento』は日本でもよく知られているナポリ歌曲です。
1902年に当時のイタリアの首相ジュゼッペ・ザナルデッリがソレントを訪れた際に、ソレント市長が友人のクルティス兄弟に作曲を依頼した「町おこしソング」であったと言われています。
ザナルデッリ首相の滞在を祝うものとされていますが、ザナルデッリ首相が貧しかった街ソレントを助ける約束をしたという説もあります。

また、1894年に同じ曲の写しがSocietà Italiana degli Autori ed Editori(イタリアの作曲家協会のような団体)に寄託されており、1902年に市長からの依頼の際に、それを書き直しただけであるという説もあるようです。

この曲は1905年に正式に発表され、カンツォーネの代表曲のひとつとなりました。
ナポリ出身のクルティス兄弟は、兄が作詞・弟が作曲を担当して、「忘れな草」など多くの有名なカンツォーネ曲を生み出しました。

「帰れソレントへ」原曲歌詞と日本語訳

【1番】
Vide ‘o mare quant’è bello,
spira tantu sentimento,
Comme tu a chi tieni mente,
Ca scetato ‘o fai sunnà.
見てごらん、なんて美しい海
たくさんの感情が溢れてくる
君の優しい言葉が
夢の中へと誘う

Guarda gua’ chistu ciardino;
Siente, sie’ sti ciur’ arance:
Nu prufumo accussi fino
Dinto ‘o core se ne va…
見てごらん、この庭を
オレンジの香りを感じて
その芳醇な香りは
君の心に届く

E tu dice: “I’ parto, addio!”
T’alluntane da stu core…
Da sta terra del l’ammore…
Tieni ‘o core ‘e nun turnà?
あなたは言う「さよなら」と
私の心から遠く
この愛の地からも
戻る心はもうないのか?

Ma nun me lassà,
Nun darme stu turmiento!
Torna a Surriento,
Famme campà!
ねぇ、行かないで
私を苦しませないで
帰れ、ソレントへ
私を助けて!(生かせて!=あなたがいないと死んでしまう!)

【2番】
Vid’o mare de Surriento,
che tesoro tene nfunno:
chi ha girato tutto ‘o munno
nun l’ha visto comme’a ccà.
見てごらん、ソレントの海を
奥底に宝を秘めている
世界中を旅した人も
こんな海は見たことないだろう

Vide attuorno sti Sirene,
ca te guardano ‘ncantate,
e te vonno tantu bene…
Te vulessero vasà.
見てごらん、セイレーンたちを
あなたを見とれている
あなたに恋をしている
キスをしたいぐらいに

E tu dice: “I’ parto, addio!”
T’alluntane da stu core
Da sta terra de l’ammore
Tiene ‘o core ‘e nun turnà?
(1番と同じ)
Ma nun me lassà,
Nun darme stu turmiento!
Torna a Surriento,
Famme campà!
(1番と同じ)

「帰れソレントへ」日本語版

日本語では、徳永政太郎訳「うるわしの海は うつつにも夢む・・・」という歌詞があります。
こちらは美空ひばりさんが歌いました。
芙龍明子訳 「うるわしのソレント 海原はるかに・・・」という歌詞もあります。
また、冒頭のドラマティックなイントロがドラマの挿入歌など、テレビ番組でも使用されることがあります。