オペラ

女心の歌 歌詞の意味・解説

女心の歌 La donna è mobile」はジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Fortunino Francesco Verdi, 1813-1901)作曲のオペラ「リゴレット(Rigoletto」第3幕でマントヴァ伯爵が歌うアリアです。
大変有名な曲で映画やコマーシャルなどで使われることもあるので、「リゴレット」を知らない方でもこの曲は聞いたことがあるでしょう。

軽快で華のある曲なので、同じく有名なヴェルディの「乾杯の歌」のようにイベントを盛り上げる歌として歌われる場合もありますが、「リゴレット」の物語の内容や歌の歌詞などを確認の上、決して結婚式などでは歌ってはいけません。(ごく稀に結婚式などでおすすめの曲として紹介されている場合があるので要注意です)

ヴェルディ「リゴレット」の概要とあらすじ

「リゴレット」はヴェルディ中期の作品で、1851年にヴェネチア・フェニーチェ劇場で初演されました。
この作品はヴェルディのオリジナル作品ではなく、ヴィクトル・ユーゴーの「王は愉しむLe Roi s’amuse)」という戯曲が原作となっています。
「王は愉しむ」は1832年にフランスで初演されたものの、当時のフランス王政国家のもと翌日には上演禁止になった作品です。
それは新たにオペラ化する際の懸念事項にもなり、原作を忠実に再現しつつ公安の検閲を満足させるために、ヴェルディとフェニーチェ座の作家ピアーヴェは、タイトルや登場人物、時代背景の設定などを何度も修正を重ねました。
1851年3月、無事に初演を終えた「リゴレット」は大盛況で、20回以上再演される人気作品となりました。

物語の舞台は6世紀、イタリアのマントヴァ。
女性を口説き落とすことを楽しみとするマントヴァ公爵、マントヴァ公爵に使える道化師リゴレット、そしてリゴレットの娘ジルダが主要な登場人物です。
若く美しいジルダに目をつけたマントヴァ公爵は、嘘をついてジルダを言葉巧みに誘いかけます。
純真なジルダはマントヴァ公爵の嘘がわかった後も一途に想い続け、それを知った父リゴレットが酒場で別の女性を口説いているマントヴァ公爵の姿を娘に見せようとします。
その時に公爵が歌うのが「女は気まぐれ、可愛らしい涙も笑顔も偽り…」という「女心の歌」です。

こうして物語の背景を知ると、この一見爽やかな歌曲もジルダにとっては大変残酷な歌に感じられますね。

その後、救いようのない悲劇で幕を閉じる「リゴレット」がここまで人気の作品であり続けるのは、ヴェルディの素晴らしい楽曲の数々のおかげかもしれません。

「リゴレット」初演当時のポスター
1837年に再建された当時のヴェネツィア・フェニーチェ劇場

女心の歌 La donna è mobile」原曲歌詞と日本語訳

※1
La donna è mobile
qual piuma al vento,
muta d’accento
e di pensiero.

女は気まぐれ
風になびく羽のように
言葉が変わる
考え方も

※1繰り返し

Sempre un amabile
leggiadro viso,
in pianto o in riso,
è mensognero.

いつも可愛らしい
愛らしい表情も
涙も笑顔も
嘘偽り

E’sempre misero
chi a lei s’affida,
chi le confida,
mal cauto il core!

いつも不幸なのは
女に心を許してしまう者
女を信じてしまう
警戒心もなく

Pur mai non sentesi
felice appieno
chi su quel seno,
non liba amore!

けれども
女の胸で幸せを感じられないのは
愛を味わえない者だ

※1繰り返し