カンツォーネ

黒ネコのタンゴ Volevo un gatto nero 歌詞の意味・解説

黒ネコのタンゴ」は、マリオ・パガーノ(Mario Pagano, 1927-2011)作曲、マリオ・パガーノ、アルマンド・ソリチッロ(Armando Soricillo)フランチェスコ・サヴェリオ・マレスカ(Francesco Saverio Maresca)作詞により、1969年に発表されました。原題は「Volevo un gatto nero(黒ネコがほしかった)」で、イタリアで生まれた童謡です。

「黒ネコのタンゴ」歴史と解説

イタリアで1959年に始まり、毎年開催されている童謡コンテスト「ゼッキーノ・ドーロ(Zecchino d’Oro)」の1969年3月に行われた第11回大会で、原曲「Volevo un gatto nero(黒ネコがほしかった)」が発表されました。当時4歳の少女だったヴィンチェンツァ・パストレッリ(Vincenza Pastorelli)による歌唱がオリジナルバージョンです。のちにレコード900万枚以上を売り上げ、イタリアで大成功を収めたこの曲は、すぐに世界各国でカバーされることになりました。

ヴィンチェンツァ・パストレッリ

【画像出典】https://zecchinodoro.org/canzone/volevoungattonero

日本では、1969年10月5日に、当時7歳だった歌手・皆川おさむのデビュー曲として発表されると、レコードは200万枚以上の大ヒットを記録。日本語の歌詞は見尾田みずほが手がけ、編曲は小森昭宏が担当しました。

「黒ネコのタンゴ」は、軽快なタンゴのリズムと、どこか哀愁を帯びたメロディーが印象的な楽曲です。子どもでも歌いやすいメロディーラインと、リズムの取りやすさが世界各国でカバーされ人気になった理由だといえます。特に日本では、1969年にチャート1位を獲得し、皆川おさむは最年少でミリオンセラーを達成した記録を持っています。

「黒ネコのタンゴ」歌詞の意味

原曲と日本語版では歌詞の内容が大きく異なります。

原曲のイタリア語版「Volevo un gatto nero(黒ネコがほしかった)」は、少年が友達に「ワニやキリン、インドゾウをあげるから黒ネコがほしい」と交換を持ちかけ、最終的には動物園をまるごと提供すると申し出たのに、友達がくれたのは白ネコだったという内容です。

サビの部分では「ネーロ、ネーロ(黒、黒)」と繰り返し、黒ネコへのこだわりを表現しています。友達との約束が守られなかったことに不満を示しながらも、結局は白ネコを引き取るといった、子どもらしい率直さとわがままさが描かれたストーリーが魅力です。

一方、日本語版の歌詞は原曲の翻訳ではなく、独自に作詞されたものです。

黒ネコを恋人に見立てたハートフルなストーリーとなっており、「君は可愛い僕の黒ネコ 赤いリボンがよく似合うよ」で始まり、「黒ネコのタンゴ タンゴ タンゴ 僕の恋人は黒いネコ」というサビで、黒ネコへの愛情を表現。気まぐれなペットの姿を愛おしく歌う、優しく穏やかな内容に変更されました。このアレンジによって、日本の子ども向けの楽曲としてより親しみやすい作品が誕生したのです。

「黒ネコのタンゴ」原曲歌詞と日本語訳

【イントロ】
Lallallallallalla
La-llà.
ララララララ
ラーラ

【1番】
Un coccodrillo vero,
Un vero alligatore,
Ti ho detto che l’avevo
E l’avrei dato a te.
本物のワニだよ
本物のアリゲーター
飼ってるって言ったでしょ
君にあげようと思ってたのに

Ma i patti erano chiari:
Il coccodrillo a te
E tu dovevi dare
Un gatto nero a me.
ちゃんと約束してたよ
君にワニをあげるから
僕に黒ネコをくれなきゃいやだ

【リフレイン】
Volevo un gatto nero nero nero:
Mi hai dato un gatto bianco
Ed io non ci sto più.
黒ネコがほしかったんだ、黒、黒、黒
なのに君は白ネコをくれた
もう我慢できないよ

Volevo un gatto nero nero nero…
Siccome sei un bugiardo
Con te non gioco più.
黒ネコがほしかったんだ、黒、黒、黒
嘘つきの君とは、もう一緒に遊ばない

【間奏】
Lallallallallalla
La-llà.
ララララララ
ラーラ

【2番】
Non era una giraffa
Di plastica o di stoffa;
Ma una in carne ed ossa
E l’avrei data a te.
ただのキリンじゃない
プラスチックや布製のおもちゃじゃなくて
本物のキリンを君にあげようと思ってたのに

Ma i patti erano chiari:
Una giraffa a te
E tu dovevi dare
Un gatto nero a me.
ちゃんと約束してたよ
君にキリンをあげるから
僕に黒ネコをくれなきゃいやだ

【リフレイン】
Volevo un gatto nero nero nero:
Mi hai dato un gatto bianco
Ed io non ci sto più.
黒ネコがほしかったんだ、黒、黒、黒
なのに君は白ネコをくれた
もう我慢できないよ

Volevo un gatto nero nero nero…
Siccome sei un bugiardo
Con te non gioco più.
黒ネコがほしかったんだ、黒、黒、黒
嘘つきの君とは、もう一緒に遊ばない

【間奏】
Lallallallallalla
La-llà.
ララララララ
ラーラ

【3番】
Un elefante indiano
Con tutto il baldacchino,
L’avevo nel giardino
E l’avrei dato a te.
インドゾウ
頭に飾りをつけていて
僕の庭にいたんだ
君にあげようと思ってたのに

Ma i patti erano chiari:
Un elefante a te
E tu dovevi dare
Un gatto nero a me.
ちゃんと約束してたよ
君にインドゾウをあげるから
僕に黒ネコをくれなきゃいやだ

【リフレイン】
Volevo un gatto nero nero nero:
Mi hai dato un gatto bianco
Ed io non ci sto più.
黒ネコがほしかったんだ、黒、黒、黒
なのに君は白ネコをくれた
もう我慢できないよ

Volevo un gatto nero nero nero…
Siccome sei un bugiardo
Con te non gioco più.
黒ネコがほしかったんだ、黒、黒、黒
嘘つきの君とは、もう一緒に遊ばない

【間奏】
Lallallallallalla
La-llà.
ララララララ
ラーラ

【エンディング】
I patti erano chiari:
L’intero zoo per te
E tu dovevi dare
Un gatto nero a me.
ちゃんと約束してたよね
君に動物園をまるごとあげるから
僕に黒ネコをくれなきゃいやなんだ

Volevo un gatto nero nero nero,
Invece è un gatto bianco
Quello che hai dato a me.
黒ネコがほしかったんだ、黒、黒、黒
なのに君が僕にくれたのは白ネコじゃないか

Volevo un gatto nero
Ma insomma nero o bianco
Il gatto me lo tengo
E non dò niente a te.
本当は黒ネコがほしかった
まあ、黒でも白でも
このネコはもらっておくよ
もう君には何もあげない

Lallallallallalla
La-llà.
ララララララ
ラーラ