「今の歌声は una voce poco fà」は、ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini, 1792-1868)作曲の全2幕のオペラ『セビリアの理髪師 Il barbiere di Siviglia』の第1第2場で、リンドーロ(アルマヴィーヴァ伯爵)のプロポーズを受け入れたロジーナが歌うアリアです。
このアリアはソプラノが原調ですが、実際にはメゾソプラノが歌うほうが多いようです
『セビリアの理髪師』はロッシーニの代表作で、CM曲としてもよく使われています。
ロッシーニ『セビリアの理髪師』の概要とあらすじ

オペラとしての『セビリアの理髪師』は、1816年2月20日にローマのアルジェンティーナ劇場で初演されました。ロッシーニが、わずか2週間で作曲したと言われる作品です。
悲劇が好まれるイタリア・オペラにおいて、この作品は喜劇でありながら人気があります。
原作は、フランスの劇作家ボーマルシェが書いた戯曲『セビリアの理髪師』です。同作は、『フィガロの結婚』『罪ある母』とともにフィガロ三部作と呼ばれています。
物語の舞台は、18世紀のスペインのセビリア。
親から譲り受けた莫大な遺産を持つ令嬢ロジーナは、後見人である医師バルトロの家に身を寄せていました。バルトロはロジーナの遺産を狙い、ほかの男が彼女に近づかないように行動を制限しています。
そんなとき、偶然見かけたロジーナに一目惚れしてしまったスペインの貴族アルマヴィーヴァ伯爵は、なんとか彼女に気持ちを打ち明けようとしますが、バルトロの監視が厳しく近づくことができません。そこにセビリアの理髪師であるフィガロがやってきて、伯爵は彼に報酬をはずむからロジーナとの仲を取り持つように頼みます。ただし、貴族の身分を隠し、貧しい学生のリンドーロと名乗って愛のカンツォーネを歌います。
フィガロは2人を引き合わせようとしますがうまくいきません。
ロジーナは結婚を決意し、リンドーロに手紙を書きます。
一方、なんとかロジーナと結婚してしまおうと焦ったバルトロは、腹心である音楽教師のバジリオに結婚契約書を作成するよう命じます。
その話を盗み聞きしていたフィガロは、ロジーナに忠告しますが、聞く耳を持ってもらえないままロジーナから手紙を託されます。
伯爵はバジリオの弟子に変装してバルトロ邸に入りますが、バルトロに怪しまれたため、例の手紙を伯爵から盗んだといって渡し、バルトロを騙すことに成功しました。ようやく会うことができた2人は、密かに愛を誓い合います。

ところが、変装していたことがバレてしまい、伯爵とフィガロは追い出されてしまいました。
結婚を急ぐバルトロは、ロジーナに手紙を見せ、リンドーロが裏切って伯爵に彼女を売ろうとしているのだと言います。絶望したロジーナはバルトロとの結婚を承諾してしまうのでした。それを聞いたバルトロは、バジリオに公証人を呼び寄せるよう頼みます。
その夜、伯爵とフィガロはロジーナのもとに忍び込み、リンドーロはアルマヴィーヴァ伯爵なのだと釈明して、誤解を解くことができました。そこへバルトロが呼び寄せた公証人が到着し、すぐさま2人は結婚してしまいます。
2人の結婚が成立した頃、バルトロが兵士を連れて現れますが、後の祭り。悔しがるバルトロを前に、伯爵がロジーナの持参金は必要ないと宣言したため、バルトロは怒りを鎮めます。幸せな結末を迎えて、幕が閉じます。
「今の歌声は」原曲歌詞と日本語訳
Una voce poco fà
qui nel cor mi risuonò
Il mio cor ferito è già
e Lindor fu che il piagò.
今の歌声は
私の心の中に響きわたったわ
私の心に突き刺さったの
リンドーロが射抜いたの
Si, Lindoro mio sarà,
Lo giurai,la vincerò.
Il tutto ricuserà,
io l’ingegno aguzzerò
Alla fin s’accheterà
e contenta io resterò…
Si, Lindoro mio sarà
lo giurai, la vincerò
そう リンドーロは私のものよ
誓ったの 必ず手に入れてみせると
後見人は許してくれないでしょうけど
知恵を絞ってうまくやってみせるわ
だって リンドーロは私のものだもの
誓うわ 絶対に手に入れてみせる
Io sono docile, son rispettosa.
sono ubbediente, dolce, amorosa,
mi lascio reggere, mi fo guidar.
私は素直で、礼儀正しいの
従順で優しいし、愛情も深いのよ
ちゃんと言うことを聞いて、思うようにするわ
Ma se mi toccano dov’è il mio debole,
Sarò una vipera,
e cento trappole prima di cedere
farò giocar
けれども、もし私の弱みに付け込んでくることがあれば
私は毒蛇になって、敵が降参するまで
いくつもの罠を仕掛けて、懲らしめてやるわ