「遥かなるサンタルチア(Santa Lucia Luntana)」は有名なナポリ民謡の1曲です。
サンタルチアといえば、「Sul mare luccica〜♪」から始まるテオドロ・コットロウ作曲の「サンタ・ルチア(Santa Lucia)」が大変有名で、しばしば混同されることもありますが、まったく別の曲です。
祖国を離れゆく舟の上から、故郷ナポリを想う郷愁を歌った曲です。
遥かなるサンタルチア 歴史と解説
「遥かなるサンタルチア(Santa Lucia Luntana)」は、E.A.マリオ(Renato Carosone 1884-1961)が1919年に作詞作曲。
マリオの本名はジョバンニ・ガエタ(Giovanni Gaeta)といいます。
E.A.マリオという名前は、当時マリオが新聞に寄稿していた際に使っていたペンネーム「エルメス」のE、同紙の編集長「アレッサンドロ」のA、そしてポーランド人ディレクター「マリオ」から取りました。
E.A.マリオはイタリア人の作詞家・作曲家・作家として、イタリア語とナポリ語で2000曲以上の作品を生み出しました。
1918年に作曲された「La leggenda del Piave」は、1945年イタリア共和国誕生の時にはイタリア国歌の候補となっていたそうです。
この曲が作曲された当時のイタリアは第一次世界大戦直後から、ファシズム政権へと移行する激動の時代です。
混沌とした情勢の中、遠くに見える故郷ナポリを想い寂しさを募らせる歌詞と、ゆったりと優しいバルカロールの曲調は、マリオが戦争のない平和な故郷を想う気持ちを込めているのかもしれません。
遥かなるサンタルチア 原曲歌詞と日本語訳
Partono ‘e bastimente
pe’ terre assaje luntane…
cántano a buordo
só’ Napulitane!
遠い国へと 出ていく舟の
上で歌う ナポレターナ
Cantano pe’ tramente
‘o golfo giá scumpare,
e ‘a luna, ‘a miez’ô mare,
nu poco ‘e Napule
lle fa vedé…
港を出れば 月の光に
舟の上から遠く ナポリが見える
Santa Lucia!
Luntano ‘a te,
quanta malincunia!
サンタルチア!
ふるさと この寂しさ
Se gira ‘o munno sano,
se va a cercá furtuna…
ma, quanno sponta ‘a luna,
luntano ‘a Napule
nun se pò stá!
幸せを追って 遥々来たが
月がのぼると ナポリのことを思い出す
Santa Lucia!
Luntano ‘a te,
quanta malincunia!
サンタルチア!
ふるさと この寂しさ