映画『サウンド・オブ・ミュージック』のワンシーン
©1965 20th Century Studios, Inc. All rights reserved
画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000274.000101737.html
アルプスの高山に咲く小さな白い花、エーデルワイス。その名を冠した楽曲「Edelweiss エーデルワイス」は、ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック(The Sound of Music)』の劇中歌として、1959年にブロードウェイのラント=フォンタン劇場(Lunt-Fontanne Theatre)で初演されました。
リチャード・ロジャース(Richard Rodgers)作曲、オスカー・ハマースタイン2世(Oscar Hammerstein II)作詞によるこの曲は、素朴な美しさの中に祖国への祈りを宿し、今も世界中で愛され続けています。
「Edelweiss エーデルワイス」歴史と解説

ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』2014年上演時
画像出典:https://www.legrandaction.com/films/la-melodie-du-bonheur-the-sound-of-music/?utm_source=chatgpt.com
『サウンド・オブ・ミュージック』は、実在するオーストリアのトラップ一家の物語を題材にしたミュージカルです。
子どもたちの家庭教師として雇われた修道女見習いのマリアが、一家の父親であるトラップ大佐と恋に落ち、やがてナチス・ドイツの支配が迫る祖国を家族とともに脱出するまでを描いています。

(左から)ハワード・リンゼイ、ラッセル・クローズ
画像出典:https://www.masterworksbroadway.com/artist/howard-lindsay-and-russel-crouse/
脚本はハワード・リンゼイ(Howard Lindsay)とラッセル・クローズ(Russel Crouse)が手がけたもので、マリア・フォン・トラップ(Maria von Trapp)が1949年に出版した自伝的著作を基にしています。
1959年11月16日の初演では、マリア役をメアリー・マーティン(Mary Martin)、トラップ大佐役をシオドア・ビケル(Theodore Bikel)が演じ、大きな成功を収めました。
作品はトニー賞でミュージカル作品賞をはじめ、6部門を受賞。ブロードウェイでは、1,443回のロングランを達成しています。
劇中で歌われる「エーデルワイス」の名シーン

ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』2024年上演時
画像出典:https://www.grandtheatre.com/event/sound-of-music?utm_source=chatgpt.com
「エーデルワイス」は、ロジャース&ハマースタインのコンビで作られた、ミュージカルの中でもひときわ印象深い場面で歌われる曲です。
最初に登場するのは、トラップ大佐が自宅でギターを手に取り、子どもたちに静かに歌いかけるシーン。やがて子どもたちも声を合わせ、家族の絆を感じさせる温かなシーンへと変わっていきます。
物語が進み、ナチス・ドイツの圧力が増す中で開かれる音楽祭では、この曲が再び演奏されます。大佐の歌声にマリアや子どもたち、そして会場の観客までもが加わり、感動的な合唱が広がっていく光景は、生まれ育った国への思いと自由への願いが凝縮された山場の一つです。
ミュージカル版と映画版では演出に違いはあるものの、いずれも作品の核心に位置する重要な楽曲であることに変わりありません。
なお、本作はハマースタインの晩年を代表する作品で、彼は初演の翌年に病でその生涯を閉じています。
映画版が広めた世界的な知名度

映画『サウンド・オブ・ミュージック』のワンシーン
画像出典:https://medium.com/%40alisonkate/edelweiss-edelweiss-9e5cece6f8a8
1965年公開の、ロバート・ワイズ(Robert Wise)監督による映画版『サウンド・オブ・ミュージック』は、アカデミー賞作品賞を含む5部門を受賞。当時の世界興行収入記録を塗り替える大ヒットとなりました。
クリストファー・プラマー(Christopher Plummer)演じるトラップ大佐が静かにギターをかき鳴らしながら「エーデルワイス」を歌う場面は、映画史に残る名シーンとして有名です。
映画が注目を集めたことを機に、英語圏を越えて世界各国へ広まりました。
日本を含む多くの国で翻訳・録音され、親しみやすいメロディーと短い歌詞から、学校教育の場でも取り上げられています。
ポピュラー音楽の枠を超え、民謡のような位置づけで定着した地域も少なくありません。
「Edelweiss エーデルワイス」の意味
歌詞は、エーデルワイスの白く小さな花を朝ごとに目にする喜びを静かに語り、「Bless my homeland forever(我が祖国を永遠に祝福してほしい)」という一節で結ばれます。
声高に訴えるのではなく、花一輪の美しさを語るように祖国への愛を歌うからこそ、その言葉は深く心へ刺さります。
一見すると花への素朴な愛着を歌っているだけのように感じますが、ナチス・ドイツの影響が強まる劇の文脈で読むと、言葉は異なる輝きを帯びます。
故郷を心のよりどころとして想うトラップ大佐の静かな抵抗が、花への思いに重なって響いてくるのです。
アルプスに咲く祈りの花「エーデルワイス」

山脈に咲き誇るエーデルワイスの花
画像出典:https://premiergarden.co.jp/2691/?utm_source=chatgpt.com
そもそもエーデルワイスとは、アルプス山脈の険しい岩場や標高の高い斜面にひっそりと咲く高山植物です。
その名はドイツ語の「edel(高貴な)」と「weiß(白い)」に由来し、「気高い白」を意味します。
厳しい環境に根を張りながら白く清らかに在り続ける姿は、古くからアルプス地方で純潔・勇気・郷土愛の象徴とされてきました。
国花ではないものの、国民的な象徴として親しまれ、かつてはコインや切手のデザインにも使われた祈りの花です。
「Edelweiss エーデルワイス」原曲歌詞と日本語訳
Edelweiss, Edelweiss,
Every morning you greet me
Small and white,
Clean and bright,
You look happy to meet me
エーデルワイス エーデルワイス
毎朝 私に挨拶してくれる
小さくて白くて
清らかで輝いている
まるで会えるのを喜んでくれているみたいだ
Blossom of snow, may you bloom and grow,
Bloom and grow forever
Edelweiss, Edelweiss,
Bless my homeland forever
雪の花よ どうか咲き続けて
いつまでも咲き誇っていて
エーデルワイス エーデルワイス
我が祖国を永遠に祝福してほしい