愛をテーマにしたクラシック曲、クラシック版のラブソングをご紹介します。
どれも作曲者が愛する人のために作曲した至極の名曲ばかりです。
シューマン「献呈(君に捧ぐ)」
「献呈」はロベルト・シューマン(Robert Schumann 1810年~1856年)の歌曲集「ミルテの花」作品25 第1曲目です。「ミルテの花」はシューマンが結婚式の前日に妻となるクララ・シューマンに捧げた歌曲集です。クララはシューマンのピアノの師であるフリードリヒ・ヴィークの娘で、幼い頃から天才ピアニストとして活躍していました。二人の結婚は父フリードリヒの猛反対され裁判沙汰にもなりましたが、1840年についに結婚しました。
そんなクララへの誠実で深い愛が詰まった曲がこの「献呈」です。
また、フランツ・リスト編曲のピアノ版「献呈」は、ピアニストがよく演奏する人気曲です。
リスト 「愛の夢」第3番
フランツ・リスト(Franz Liszt 1811−1886)作曲の「愛の夢 Liebesträume」は、「3つのノクターン(3つの夜想曲)」とも呼ばれ、特にこの第3番は有名です。原曲はリストがフライヒリアートの詩の曲をつけた歌曲でしたが、その後ピアノ曲として編曲されました。現代では歌曲よりもピアノ曲としてとても有名です。
原曲の歌詞では第1番「高貴な愛」=神への愛、第2番「私は死んだ」=恋する人への愛、そしてこの第3番「おお、愛しうる限り愛せ」=家族・友人など身近な人たちの愛を表現していると解釈されます。
エルガー「愛の挨拶」
日本ではなぜか電話の保留音でおなじみの1曲ですが・・・大変美しい曲です。
この曲はエドワード・ウィリアム・エルガー(Edward William Elgar 1857−1934)がキャロライン・アリス・ロバーツへ婚約記念として贈った曲です。宗教の違いや身分の違いのため親族から反対されながらも二人は結婚しました。
この曲はピアノ独奏版、ピアノ&ヴァイオリン版などエルガー自身がいくつかの編曲版を残しています。
マーラー 交響曲第5番第4楽章「アダージェット」
グスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860−1911)は41歳の時、19歳年下のアルマ・シンドラーと結婚しました。すでに交響曲第5番を作曲中だったマーラーは、「アルマに捧げる愛のあかし」として急きょこの第4楽章「アダージェット」を加えたそうです。しかし、彼が育った複雑な家庭環境などの影響から、単なる愛の喜びを表現する曲ではなく、どこかに「死に対する不安」をまとっているという解説もあります。(ちなみに残念なことに妻アルマは後に心が離れて去ってしまいます。)
ベートーヴェン「エリーゼのために」
誰もが耳にしたことがあるベートーヴェンのピアノ曲です。
本当は「テレーゼ(Therese)のために」という曲名だったところ、ベートーヴェンの字が汚くて読めなかったので「エリーゼ(Elise)のために」になってしまったと言われています。実際に当時ベートーヴェンはテレーゼ・マルファッティという女性に恋をして求婚したという説もあります。
こちらの動画は珍しいピアノ&オーケストラバージョンです。
グリーグ「君を愛す」
グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) が作曲したこの歌曲は、原題 は「Jeg elsker Dig」 といいデンマーク語で書かれた詞で、作詞者は日本でも有名な童話作家のアンデルセンです。一般的にはドイツ語で歌われることが多いようです。
「 私は君を愛す、これまでも、 そして、これからもずっと!」という情熱的な歌詞のこの曲は、グリーグが婚約者に捧げた曲だと言われています。