「サンタ・ルチア Santa Lucia」は古くからの伝統的なナポリ民謡で、1849年にテオドロ・コットラウ (Teodoro Cottrau, 1827-1879)が編曲して出版しました。
バルカロール(舟歌)の特徴である三拍子のゆったりとした優雅な曲調は、美しい港町の景色を連想させます。
「サンタ・ルチア」歴史と解説
サンタ・ルチアとは、美しいナポリ湾に面したサンタ・ルチア港を含む海岸沿い一帯の名前です。遠くにはヴェスヴィオ山が見え、世界一美しい港町と言われており、現在でもイタリアのでも観光名所のひとつになっています。
「サンタ・ルチア Santa Lucia(英名Saint Lucy) 」という地名は、別名「シラクサのルチア」と呼ばれる4世紀頃のキリスト教の殉教者、聖ルチアの名前から由来しています。
聖ルチアは迫害を受けて拷問として両目をくり抜かれましたが、奇跡が起きて、目がなくても見ることができたと言われています。
そのため、聖ルチアはお皿の上に眼球を載せた姿で描かれています。
また、このような伝説から聖ルチアは目の守護聖人としても知られています。
ルチアLuciaはラテン語で光を意味するLuxまたはLucidから派生した名前であることから、冬の夜が長い北欧の国々では「光の祭り」とルチアへの信仰が結びつき、12月13日には「聖ルチア祭」が行われています。
「サンタ・ルチア」原曲歌詞と日本語訳
【1番】
Sul mare luccica l’astro d’argento.
Placida è l’onda, prospero è il vento.
銀色の星が輝く海
波は穏やかに 風はそよぐ
Venite all’agile barchetta mia,
Santa Lucia! Santa Lucia!
わたしの小舟においで
サンタ・ルチア!
【2番】
Con questo zeffiro, così soave,
O, com’è bello star’ sulla nave!
ゼファーとともに
なんと美しい、船の上のもの
※ゼファー:ギリシア神話に登場する風神の神。よそ風、やさしい風という意味を持つ。
Su passeggeri, venite via!
Santa Lucia! Santa Lucia!
乗り人よ、行こう
サンタ・ルチア!
【3番】
In fra le tende, bandir la cena
In una sera così serena,
テントの中で夕食の準備を
こんな穏やかな夜に
Chi non dimanda, chi non desia.
Santa Lucia! Santa Lucia!
誰も望んでなどいない
サンタ・ルチア!
【4番】
Mare sì placida, vento sì caro,
Scordar fa i triboli al marinaro,
穏やかな海、心地よい風
苦しみも忘れてしまう
E va gridando con allegria,
Santa Lucia! Santa Lucia!
大きな声で陽気に
サンタ・ルチア!
【5番】
O dolce Napoli, o suol beato,
Ove sorridere volle il creato!
美しいナポリ 豊かな土地
創造主も笑顔になる
Tu sei l’impero dell’armonia!
Santa Lucia! Santa Lucia!
あなたは調和の帝国
サンタ・ルチア!
【6番】
Or che tardate? Bella è la sera.
Spira un’auretta fresca e leggiera.
何を待つのか、美しい夕暮れに
新鮮な風が吹く
Venite all’agile barchetta mia,
Santa Lucia! Santa Lucia!
私の小舟においで
サンタ・ルチア!
美しいナポリの港町、穏やかな波、そよぐ風、揺れる小船・・・
悠々とした三拍子のメロディは、晴れた日の海辺で歌いたくなる曲です。
#サンタ・ルチア #サンタルチア