オペラ

愛の息吹『コジ・ファン・トゥッテ』より 歌詞の意味・解説

引用:OPERA HOLLAND PARK

「愛の息吹 Un’aura amorosa」は、ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozarti, 1756-1791)作曲の全2幕のオペラ『コジ・ファン・トゥッテ Cosi fan tutte』の第1幕で、フェルランド(テノール)が歌うアリアです。

タイトルである「コジ・ファン・トゥッテ」とは、イタリア語で「女はみんなこうしたもの」という意味があります。これはモーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』の第1幕に出てくるセリフです。

モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』の概要とあらすじ

『コジ・ファン・トゥッテ』は、1790年1月26日にウィーンのブルク劇場で初演されました。『フィガロの結婚』と同様に、ダ・ポンテが台本を書いています。原作はありません。

2組のカップルの男たちがお互いの相手を誘惑して女性の貞操を試すという内容が不道徳であるとされ、初演された当時、オペラとしての評価は低いものでした。20世紀に入ってから再評価されるようになり、今では、モーツァルトの作品である『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』の3大オペラと並ぶ4大オペラと呼ばれています。

物語の舞台は、18世紀末のイタリア・ナポリ。

哲学者のドン・アルフォンソは「女は心変わりする」と主張しますが、青年士官のフェルランドとグリエルモは「そんなことはない」と言い返します。そこで、ドン・アルフォンソの提案で、2人の恋人であるフィオルディリージとドラベッラの姉妹が浮気をするかどうかの賭けをすることになりました。

フェルランドとグリエルモは戦場に行ったフリをして、別人に変装して戻ってきます。お互いの恋人を交換して、姉妹を誘惑するためでした。ところが、姉妹はなかなか誘いに応じません。そこでドン・アルフォンソは、姉妹のメイドであるデスピーナにも協力を約束させます。

デスピーナは、姉妹に「浮気」するよう唆しますが、なかなか関係は進展しません。痺れを切らしたドン・アルフォンソが4人をくっつけようと画策すると、妹のドラベッラはついにグリエルモの熱心な求愛に応えてしまうのでした。一方、姉のフィオルディリージはフェルランドの求愛を拒絶しながらも心は揺れ動いていました。

ドラベッラの心変わりを知ったフェルランドはショックを受けますが、さらに賭けは続きます。フィオルディリージはグリエルモへの愛を歌いますが、フェルランドの激しい求愛を受けて、とうとう口説き落とされてしまいました。

賭けに勝ったドン・アルフォンソは「女はみんなこうしたもの」と歌い、激怒する男2人をなだめます。

その後、2組の恋人たちは結婚式を挙げることになりました。結婚契約書にサインしたとき、兵士たちが帰還したことが告げられます。恋人が戻ってきたと焦る姉妹のもとに、変装を解いたフェルランドとグリエルモが現れると、ここで種明かしがされました。姉妹は許してほしいと謝り、男たちはもう試すようなことはしないと誓います。

ドン・アルフォンソは「みんなで笑い合おう」と言って、4人はそれぞれ元の鞘におさまるのでした。ここで幕が下ります。

「愛の息吹」原曲歌詞と日本語訳

Un’aura amorosa
Del nostro tesoro
Un dolce ristoro
Al cor porgerà;

愛の息吹は
私たちの宝物の
甘い安らぎを
心に与えてくれでしょう

Al cor che nudrito
Da speme d’amore,
D’un’esca migliore
Bisogno non ha.

養われている心に
愛の希望による
これ以上の誘惑は
必要ないのです