シャンソン

オー・シャンゼリゼ Les Champs-Élysées 歌詞の意味・解説

「オー・シャンゼリゼ(Les Champs-Élysées)」は、マイク・ウィルシュ(Mike Wilsh)マイク・ディーガン(Mike Deighan)作曲、ピエール・ドラノエ(Pierre Delanoë, 1918-2006)によるフランス語詞で、1969年に発表されたシャンソンです。

フランスの歌手ジョー・ダッサン(Joe Dassin, 1938-1980)の代表曲として知られ、パリのシャンゼリゼ通りを象徴する楽曲の一つとなり、世界的なヒットを記録しました。

「オー・シャンゼリゼ」歴史と解説

イギリス生まれのメロディー

「オー・シャンゼリゼ」には、意外なルーツがあります。この曲のメロディーはフランスではなく、もともとイギリスで生まれたものでした。

1968年、イギリスのサイケデリックバンド、ジェイソン・クレスト「Waterloo Road(ウォータールー・ロード)」というタイトルで4枚目のシングルを発表。
楽曲はマイク・ウィルシュとマイク・ディーガンによって作曲され、バンドのプロデューサーであったフリッツ・フライヤー(後にモーターヘッドなどを手がけた人物)のもとで制作されました。

しかし、イギリスでのリリース当時は一定の注目を集めながらも、大きなヒットには結びつきませんでした。

ジョー・ダッサンとの出会い

画像出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Joe_Dassin

楽曲をリリース後、仕事でロンドンに滞在していたアメリカ生まれのフランス人歌手ジョー・ダッサンが偶然この曲を耳にし、ポップなメロディーに強い関心を抱きます。

ダッサンは、フランスの著名なシャンソン作詞家ピエール・ドラノエに訳詞を依頼することを決意します。
のちにドラノエは、原曲で舞台となっていたロンドンの「ウォータールー通り」を、パリの「シャンゼリゼ通り」に置き換え、新たに「Aux Champs-Élysées」というタイトルを与えました。

1969年に発表されたフランス語版は、全仏で大ヒットを記録し、フランス国内で約60万枚を売り上げるなど、ジョー・ダッサンのキャリアを代表する一曲となったのです。

日本での大ヒット

画像出典:https://www.universal-music.co.jp/p/uicy-1363/

日本では1971年、モロッコ生まれのフランス人歌手ダニエル・ビダルが歌ったバージョンが「オー・シャンゼリゼ」の邦題でヒットしました。安井かずみによる日本語訳詞も広く親しまれ、世代を問わず多くの人に聴かれるようになります。

また、シャンソン歌手として高い人気を誇っていた越路吹雪も、岩谷時子が手がけた訳詞で歌声を披露しています。
1972年の「第23回NHK紅白歌合戦」では、司会を務めていた佐良直美によって歌唱され、国民的な知名度をさらに高めました。

世界中で愛される楽曲となる

その後も「オー・シャンゼリゼ」は、世界各地でさまざまなアーティストにカバーされ続けています。
1997年にはアメリカのパンクバンド、NOFX「Champs Elysées」としてアレンジし、原曲とは異なるエネルギッシュな魅力を示しました。

2017年にはフランスの歌手ZAZ(ザーズ)が、アルバム「PARIS〜私のパリ〜」に収録。ロシア極東での公演時、観客がフランス語の歌詞を一緒に口ずさんだことに感動したエピソードを語っています。

また、2021年の東京オリンピック・バレーボール競技男子決勝戦では、フランスの優勝が決まった直後、会場内でこの曲が流され、大きな話題となりました。

「オー・シャンゼリゼ」の意味

日本語で親しまれている「オー・シャンゼリゼ」という呼び名は、原曲の歌詞に登場する
「Aux Champs-Élysées(シャンゼリゼ通りで)」 というフランス語表現に由来しています。

フランス語の「aux」は前置詞で、「〜で」「〜において」といった意味を持つ言葉です。
しかし日本語では、その響きから「オー」が感嘆詞のように受け取られ、「おお、シャンゼリゼ」と呼びかけるような、親しみやすいタイトルとして定着しました。

歌詞は、シャンゼリゼ通りで待ち合わせをしている見知らぬ女性に声をかけ、一緒に歌い、踊り、語り合おうと明るく誘う場面から始まります。
やがて見知らぬ者同士だった二人は心を通わせ、夜明けとともに鳥たちが愛の歌を歌うという、ラブロマンスのようなストーリーになっています。

軽快で明るい曲調と、「シャンゼリゼには、いつでも楽しいことが待っている」というフレーズは、聴く人に優しい希望を与えてくれます。

「オー・シャンゼリゼ」原曲歌詞と日本語訳

【1番】

Je m’baladais sur l’avenue
Le coeur ouvert à l’inconnu
J’avais envie de dire bonjour
À n’importe qui
N’importe qui et ce fut toi
Je t’ai dit n’importe quoi
Il suffisait de te parler
Pour t’apprivoiser

僕は大通りをぶらぶら歩いていた
知らない人に心を開きながら
誰にでもいいから挨拶したい気分だった

誰でもよかったけれど、君だった
僕は取りとめのないことを話した
ただ君に話しかけるだけで
君との距離が少しずつ縮まっていった

Aux Champs-Élysées
Aux Champs-Élysées
Au soleil, sous la pluie
À midi ou à minuit
Il y a tout ce que vous voulez
Aux Champs-Élysées

シャンゼリゼ通りで
シャンゼリゼ通りで
晴れた日も 雨の日も
真昼でも 真夜中でも
ほしいものは何でもそろっている
このシャンゼリゼ通りには

【2番】
Tu m’as dit “J’ai rendez-vous
Dans un sous-sol avec des fous
Qui vivent la guitare à la main
Du soir au matin”
Alors je t’ai accompagnée
On a chanté, on a dansé
Et l’on n’a même pas pensé
À s’embrasser

君は言った
“地下で待ち合わせしているの
ギターを抱えて、朝から夜まで歌っている変わり者たちと”

だから僕は君についていき
歌って 踊って 騒いだ
キスをすることさえ
忘れてしまうくらい

Aux Champs-Élysées
Aux Champs-Élysées
Au soleil, sous la pluie
À midi ou à minuit
Il y a tout ce que vous voulez
Aux Champs-Élysées

シャンゼリゼ通りで
シャンゼリゼ通りで
晴れた日も 雨の日も
真昼でも 真夜中でも
ほしいものは何でもそろっている
このシャンゼリゼ通りには

【3番】
Hier soir deux inconnus
Et ce matin sur l’avenue
Deux amoureux tout étourdis
Par la longue nuit
Et de l’Étoile à la Concorde
Un orchestre à mille cordes
Tous les oiseaux du point du jour
Chantent l’amour

昨夜までは 見知らぬ二人
それが今朝 大通りでは
長い夜に酔いしれた
恋人同士になっていた

凱旋門からコンコルド広場まで
千本の弦を鳴らすオーケストラ
夜明けのすべての鳥たちが
愛を歌っている

Aux Champs-Élysées
Aux Champs-Élysées
Au soleil, sous la pluie
À midi ou à minuit
Il y a tout ce que vous voulez
Aux Champs-Élysées

シャンゼリゼ通りで
シャンゼリゼ通りで
晴れた日も 雨の日も
真昼でも 真夜中でも
ほしいものは何でもそろっている
このシャンゼリゼ通りには