オペラ

私を泣かせてください『リナルド』より 歌詞の意味・解説

「私を泣かせてください Lascia ch’io pianga」は、ドイツ出身のイギリスの音楽家ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(Georg Friedrich Händel, 1685-1759)作曲のオペラ『リナルド Rinaldo』の第2幕で歌われるアリアです。

「涙の流れるままに」というタイトルに訳されることもあります。`

日本では2004年に放映されたテレビドラマ『牡丹と薔薇』のテーマ曲として「私を泣かせてください」が使用されて一躍有名になりました。

ヘンデル『リナルド』の概要とあらすじ

オペラ『リナルド』は、16世紀の叙事詩人タッソの叙事詩『解放されたエルサレム』が原作です。イタリア語の台本はジャコモ・ロッシによって作成されました。1711年2月にロンドンで初演され、大成功を収めました。ロンドンの劇場で上演された、初めてのイタリア・オペラでもあります。

物語の舞台は、11世紀のエルサレム。

十字軍の戦士リナルドは、軍の指導者であるゴッフレードの娘アルミレーナと恋仲でした。エルサレムが陥落したら、2人は結婚することになっています。

エルサレムの王アルガンテは3日間の休戦を提案します。王の恋人である魔女アルミーダは「リナルドがいなければ勝機はある」と考え、アルミレーナを誘拐してしまいます。それを知ったリナルドは、ゴッフレードとその弟のエウスタツィオとともに、アルミレーナを取り戻すために魔法使いの力を借りることにしました。

3人が魔法使いのもとに向かう途中の海岸で、リナルドはアルミーダの魔法にかかり、舟で連れ去られてしまいました。

一方、美しいアルミレーナに懸想してしまったアルガンテは、彼女を手に入れようとします。そんな我が身を嘆いて、アルミレーナは「私を泣かせてください」と歌います。

アルミーダはリナルドに好意を持ち、アルミレーナに化けて誘惑しようとしますが、リナルドは屈することなく難を逃れます。そこにアルガンテが現れ、変身したアルミーダを口説いて、元の姿に戻ったアルミーダを怒らせてしまうのでした。

そんななか、ゴッフレードとエウスタツィオの2人は魔法使いの洞窟にたどり着き、魔法使いにアルミーダの館がある岩山を登るように命じられます。魔法使いに授けられた魔法の杖を使い、2人は魔物を退治してアルミーダの館にやってきて、リナルドとアルミレーナの救出に成功しました。ゴッフレードは休戦を終わらせ、リナルドとエウスタツィオにエルサレムの総攻撃を命じます。リナルドは果敢に戦い、とうとうエルサレムは陥落し、アルガンテとアルミーダを捕らえました。

ゴッフレードはリナルドとアルミレーナの結婚を祝います。一方、捕らえられたアルガンテとアルミーダはキリスト教に改宗させられるのでした。

「私を泣かせてください」原曲歌詞と日本語訳

Lascia ch’io pianga
Mia cruda sorte
E che sospiri
La libertà

どうか泣かせてください
この残酷な運命を
嘆くのをお許しください
失われた自由を

Il duolo infranga
Queste ritorte
De miei martiri
Sol per pietà.

憐れみだけが
この悲しみの鎖を
打ち砕くのです