オペラ

花の二重唱『ラクメ』より 歌詞の意味・解説

引用:vivace-cantabile.com

「花の二重唱 Viens, Mallika, les lianes en fleurs… Dôme épais, le jasmin(おいでマリカ、ジャスミンが咲くドームへ」は、レオ・ドリーブ(Clément Philibert Léo Delibesi, 1836-1891)作曲の全3幕のオペラ『ラクメ Lakmé』の第1幕で、ラクメと侍女マリカが歌うデュエットです。優雅で気品にあふれた、ソプラノとメゾソプラノの歌声が響きます。

ドリープは、バレエ音楽『コッペリア』の作曲をしたことで有名です。

この美しいメロディは、映画音楽やCMにもたびたび使われています。ラクメの作品のなかでは、多くの人が耳にしたことがある曲だと言えるでしょう。

ドリーブ『ラクメ』の概要とあらすじ

『ラクメ』は、1883年4月14日にパリのオペラ・コミック劇場で初演されました。異国情緒のあるストーリーと美しいメロディが評判となり、アメリカやイギリスでも上演されることになりました。日本での初演は1919年です。

物語の舞台は、19世紀のイギリスの統治下にあったインド。

バラモン教の僧侶ニラカンタは、支配者であるイギリス人たちに強い反感を抱いていました。インド人たちを救えるのは、自分の娘であるラクメしかいないと皆に告げます。ニラカンタがいなくなると、ラクメと侍女のマリカは小舟に乗り、「花の二重唱」を歌いながら蓮の花を摘みに森へ出かけていきました。

そこへ、イギリス軍の将校ジェラルドが仲間とともに神殿の庭に入り込み、偶然ラクメと出会います。2人は運命的に惹かれ合いますが、異教徒が侵入したことに気づいた父ニラカンタは怒りを露わにします。

引用:vivace-cantabile.com

市場の広場で人々がにぎわう中、ニラカンタは復讐の機会をうかがっていました。彼はラクメに歌わせ、その声でジェラルドをおびき出そうとします。まんまと罠にかかったジェラルドはニラカンタによって刺され、重傷を負ってしまいました。

ラクメはジェラルドをかくまうために、森の奥の隠れ家へと運ばせます。

そして、ラクメの看病によって回復したジェラルドは、隠れ家で一緒に暮らしていくことを決意します。ところが、ラクメが留守の間に、ジェラルドの同僚フレデリックが現れ、彼に軍への復帰を促し、婚約者に対する責任を訴えたのです。

ラクメは、ジェラルドの心が揺れていることに気づき、絶望します。愛の終わりを悟ったラクメは毒のある葉を口にして、ジェラルドとともに聖なる水を飲み、永遠の愛を誓うのでした。そこに現れた父ニラカンタに対して、ラクメは最後の力を振り絞ってジェラルドとの永遠の愛を伝えます。この償いは自分の死で果たされると言い残して息を引き取ったところで幕が下ります。

「花の二重唱」原曲歌詞と日本語訳

LAKMÉ
Viens, Mallika, les lianes en fleurs
Jettent déjà leur ombre
Sur le ruisseau sacré qui coule, calme et sombre,
Éveillé par le chant des oiseaux tapageurs!

<ラクメ>
さあ、マリカ、花開くつるが
すでにその影を落としているわ
静かに暗く流れる聖なる小川の上に
にぎやかな鳥のさえずりで目を覚ましてしまった小川に!

MALLIKA
Oh! maîtresse,
C’est l’heure ou je te vois sourire,
L’heure bénie où je puis lire
dans le cœur toujours fermé de Lakmé!

<マリカ>
ああ! 姫様
あなたの笑顔が見られる時間です
私が読み取ることができる至福の時間
いつも閉ざされているラクメの心を

Dôme épais le jasmin,
A la rose s’assemble,
rive en fleurs frais matin,
nous appellent ensemble.
Ah! glissons en suivant
le courant fuyant:
dans l’onde frémissante.
D’une main nonchalante,
gagnons le bord,
Où la source dort et
l’oiseau, l’oiseau chante.
Dôme épais, blanc jasmin
nous appellent ensemble.

厚いドーム ジャスミンの花
バラに集まってくるの
花が咲き乱れる岸辺、清々しい朝
私たちを一緒に呼んでいる
ああ! 滑って行きましょう
逃げていく流れを追いながら
揺れ動く波の中へ
軽やかな手で
岸辺にたどり着きましょう
泉が眠るところでは
鳥が、鳥が歌っている
厚いドーム 白いジャスミンの花
私たちを一緒に呼んでいる

LAKMÉ
Mais, je ne sais quelle crainte subite,
S’empare de moi,
Quand mon père va seul à leur ville maudite;
Je tremble, je tremble d’effroi!

<ラクメ>
でも、突然よくわからない恐怖が
私を襲ってくるの
お父様がが一人での呪われた街へ行くと
震えるわ 恐怖に震えるの

MALLIKA
Pourquoi le Dieu Ganeça le protège,
Jusqu’à l’étang où s’ébattent joyeux
les cygnes aux ailes de neige,
Allons cueillir les lotus bleus.

<マリカ>
神ガネーシャ様が守っているのですから
楽しそうに羽ばたいている
雪のような翼を持つ白鳥たちのいる あの池まで
青い蓮を摘みに行きましょう

LAKMÉ
Oui, près des cygnes aux ailes de neige,
Allons cueillir les lotus bleus.

そうね 雪のような翼を持つ白鳥の近くへ
青い蓮を摘みに行きましょう

Dôme épais le jasmin,
A la rose s’assemble,
rive en fleurs frais matin,
nous appellent ensemble.
Ah! glissons en suivant
le courant fuyant:
dans l’onde frémissante,
D’une main nonchalante,
gagnons le bord,
Où la source dort,
et l’oiseau, l’oiseau chante.
Dôme épais, blanc jasmin,
nous appellent ensemble!

厚いドーム ジャスミンの花
バラに集まってくるの
花が咲き乱れる岸辺、清々しい朝
私たちを一緒に呼んでいる
ああ! 滑って行きましょう
逃げていく流れを追いながら
揺れ動く波の中へ
軽やかな手で
岸辺にたどり着きましょう
泉が眠るところでは
鳥が、鳥が歌っている
厚いドーム 白いジャスミンの花
私たちを一緒に呼んでいる